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さて、連続記事「それぞれの炎を考える」も折り返し地点。第3弾は、「ポケットモンスター THE ORIGIN」の主人公、「レッド」。
※他のキャラクターについての「炎を考える」記事はこちらからアクセス可能です。
引用:©2013 Pokémon. ©1995-2013 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc. |
<「レッドの炎」の描写>
「レッドって名前は父さんが『赤く燃える炎のように熱い心を持つ男になれ』って意味を込めてつけてくれたんです。だから、最初に手にするポケモンは、俺の名前に込められた炎のポケモンにするって決めていました。」
このセリフは、最初のポケモンを選ぶ際のもの。ヒトカゲをすぐに選んだ理由についてのものです。
この言葉から「レッドの炎」は名前の由来であり、「赤く燃える熱いもの」であるといえます。
これだけを見ると、「カキの炎」と同じようなポジション(他者から与えられたもの)に思えますが……いくつか、異なる点があるのです。
<「カキの炎」と「レッドの炎」の違い>
どちらの炎も他者から意味を与えられたものではありますが、(どういう内容か以外に)異なる部分があると思います。(カキの炎についてはこちらから)まず異なっているのは「炎」に対する認識です。カキの場合、炎はさまざまな面を持つものであり、その中でも「ヴェラ火山の炎」のように「命をはぐくむ炎」を目標として選びました。対するレッドの場合、炎の意味は1つ、「赤く燃える熱いもの」。
それから、立ち位置についても異なっていると言えます。カキは「命をはぐくむ炎」が”目標”という位置にありますが、レッドの場合はそうではなく、「親の願い」ーーつまり初めから傍にあるものーーといえます。
<レッドが得てきたもの>
レッドにとって「赤く燃える炎のような熱い男になれ」というのは父親の願いであり、その意味を持つ「レッド」は与えられたものです。そして、「ポケットモンスター THE ORIGIN」では、「炎」のように他者からレッドへ与えられたものーーレッドが「得た」と認識しているものーーが多く描写されています。順番に並べてみましょう。まず最初は父親からの「赤く燃える炎のように熱い男になれ」という願いです。この願いに対し、(ポジティブな意味で)最初のポケモンを選ぶ理由に組み込んでいたことから、好意的に受け止めていると考えられます。
次に描写されたのが、オーキド博士からの「この世の全てのポケモンを記録した完璧な図鑑を作りたい」という夢。この夢はレッドの旅の目的となりました(レッドの「(自分の目的は)ポケモン図鑑を完成させることだ」という発言から)。
そして、ジムリーダーからは「戦い(=ポケモンバトル)の基本」、「ポケモンで戦うということはどういうことであるのか」について。特にタケシからは「ポケモンの相性」や正攻法の1つ(ポケモンを交代させながら戦う)、それから戦いを通して「ポケモンはパートナーである」ということも学びました。
これらのことは、単に「レッドが得たもの」というだけでなく、その後のレッドの行動の柱となったりしています。また、それはただ単に与えられたものという一方的関係にとどまってはいません(=レッド自身がそれを”継ぐ”という意志を持っている)。
<レッドの炎>
「レッドの炎」は、「赤い」、「燃える」、「熱い」といった「炎」の基本情報によって形づくられています。これだけを見ると、(カキのように特別な役割のある炎というよりは、)セレナの場合のように「炎以上でも以下でもない、ただそのものの炎」のようです。しかし、レッドにとって「炎」とは、(基本情報で構成されているものでありながらも、)重要な役割を果たしているものと言えます。
得たものの1つであり、常にそばにあるものであり、自分が大切にしているものであり、時に自分の行動に影響を与えるものであり、そして何より”1番最初に自分に託されたもの”であるということ。
このように言えるでしょうか。
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第3弾「レッドの炎を考える」は以上となります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
<参考>
ポケットモンスター THE ORIGIN
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